サスペンスマガジン
65 絆(きずな)  美也は惚れ抜いて高橋治と結婚。有能でハンサムな夫。結婚して一年。SM雑誌を発見。「見逃してくれないかな。いや、本心を言っちまおう。君のその美しい体を縛りたい」結婚した女は否応なしに夫によって別の人間に造り変えられてしまうのだ。縛られて一年。夫は自分とは面識のない男に縛られて欲しいと頼む。治:妻を他の男に提供すること、妻の足元にひれ伏すことと、共通した感じ。美也:愛する者の弱み。治:妻を他人に縛らせて、果たして自分は何を得ようというのか。「愛のあかしを得たいとおっしゃるのね」土曜の夜、夫はKとともに帰宅。「そろそろ始めましょうか」「お願いがあるんですが、始める前に、ぼくをこの椅子に縛りつけてほしいのです」プレイ。愛を確かめ合うふたり。
投稿 田所表川様
贄(にえ)  大学出たての興信所所員、高瀬良太郎は、私立白鳳女子高等学校三年花組の上条美保子の素行調査を担当する。夏休みから始め、あるきっかけから親しくなり、やがて感情移入するようになる。明らかになったのは、調査の依頼主の高利貸しの老人がその父の会社の負債救済と引き替えに美保子と結婚するということだった。両親と会社の従業員を助けるために、成績優秀、模範生の美保子は自分を犠牲にする決心をしたのだった。
 この短篇では、結婚後のふたりの閨房のことは手首の痕の暗示で終わっています。
 その後の展開は、翌年発行のあまとりあ版『薔薇色の贄』→別冊SMファン78-4/5「涜神の花園」→マドンナメイト『処女狂姦』でどうぞ。
投稿 田所表川様
悪魔の贈り物 直子は音楽会で偶然知り合った佐伯佳彦と結婚して三ヶ月。彼は有名会社社長の御曹司であった。一介のOLから二人暮らしには広すぎる庭付きの家に住む。クリーナー・皿洗い機もある(お風呂は薪で沸かすようです)。シンデレラストーリー。幸せいっぱいの昼下がり、小包が届く。中身は忌まわしい記憶、レイプされた時のスカート。暫くして第二の贈り物。ボタンのちぎれたブラウス。それは婚約後のことであった。男は処女とともに着衣も奪っていったのだ。だんだんやつれていく直子。第三の小包。泥のこびりついたスリップ。四番目、ブラジャー。最後の一枚、パンティは封筒で届く。その純白のパンティには日付時間が赤く書き付けられていた。ちょうどあの日から一年後であった。悪魔の訪問予告と知り、おののく直子。そしてその日がやってきた……。
投稿 田所表川様
不適応者の群れ
66 じゃじゃ馬ならし
67 大都会の夜の底で
裏切り
「オー嬢の物語」について
ソーセージ会社に勤める私は,出入りの商人に頼んで作らせた特製の縄(材料は馬の腸)で,妻君子のしっとり吸いつくような肌を縛って楽しんでいたが……
投稿 田所表川様
紐の効用
おそれ 田舎の高校からストレートでT大に入学した大へんな秀才で,ハンサム,ウブい子供。上京してまだひと月。タチの悪い女に誘惑されて,部屋までついていく。はじめての女。だが,思いをとげる前に,絞め殺す。「なぜだ」老若コンビの刑事は訊問をつづける。「こわかったんです……」少年はおびえたような視線を向けて,なにがこわかったかを話し出すのだった。
投稿 田所表川様
パパの女
68 プロバンスの異端の城 「異端の城 三鬼俊 裏窓63-10」にジュリエットの心情など、若干加筆されたもの。

 登場する妊婦は、アンナからシモーヌに変更されている。
最後の手紙のサイン「ドナチアン・マルキ・ド・サド」から「マルキ」が削られ、このあとに「この侯爵こそ、後世サディズムの代名詞となったサドだったのである」「ジュリエットは……サド侯爵の自伝のなかで天使のような娘として永久に書き残されている。倒錯の官美な世界のヒロインとして、その名は消えないであろう」とある。
投稿 田所表川様
69 縄と毒薬
72 堕天使の誘い
サスペンス・ミステリー・マガジン
68 妄執一代 =責め具製造人(裏窓)
「ギョロリのじいさん」と呼びならされた老人。正確な年齢も名前も不明。戦災で焼け残った土蔵に住んでいる。指物師。
 祖父は江戸伝馬町牢で拷問具の製作・修理をしていた。
はたちの年、華族のお屋敷に女中奉公にあがっていた、四つ下のお清を見初めて妻にめとる。八年後、お清が隣家に下宿していた若い学生と密通しているのを知る。祖父の昔話がよみがえる。妻を素っ裸に剥いて縛り上げる。三角木馬を作る。四日後、死亡。
 今もその木馬が置いてある土蔵に暮らす。
 ある夏のはじめ、男爵から責め具の製作を依頼される。女はその妻。手枷・足枷・首枷。やがて男爵の紹介で好事家の注文が来るようになる。
 戦後二十年、映画監督からの制作依頼。連れてきた女優、旭岡(ひのおか)千鶴は、お清に生き写しだった。老人は千鶴を内密に土蔵におびきよせるのだった。
投稿 田所表川様
70 欲望の罠
海の鎮魂曲 登場人物:
曽根雅人 大学一年生、ボート部。夏休みのアルバイトとして、ボートハウス兼別荘の管理人の仕事をしている。
佐伯俊男 大学生。別荘の所有者の息子。
佐伯ひろみ 俊男の妹。高校3年生。
小田 俊男の遊び仲間。
飯塚朝子(トモコ) 雅人の恋人だったが、昨年の夏、投身自殺。

おはなし:
 曽根雅人は、恋人だった飯塚朝子が身を投げた海の近くで別荘の管理のアルバイトを見つける。その別荘の所有者の息子の大学生、佐伯俊男は遊び仲間の小田とつるんで、毎日女たちを海水浴場で物色しては、別荘に連れ込み、強姦同様に楽しんでいた。ふとしたことから、雅人は、恋人朝子の死の原因が佐伯による強姦だったことに気付く。復讐に燃える雅人は、俊男たちの目の前で、俊男が妹以上の感情を抱いているひろみを犯そうとする。
 
 70年の作品でもあり、エロの描写よりも、登場人物の心理描写に重きが置かれている。
 また帆船やヨットに関する知識がふんだんに描かれている。
投稿 田所表川様
ヒューマノイド

 21世紀後半。俺は注文したヒューマノイドを宅配で受け取る。注文通り、恋人のミキそっくりで、人間と全く見分けがつかない完ぺきな製品だ。俺は恋人のミキがいつまでたってもやらせてくれないことに腹を立て、こうしてミキそっくりのロボット・ミキノイドを作らせたというわけだ。 人間そっくりに文句を言い、抵抗するミキ。全裸のミキノイドを鞭で脅して首輪を嵌めベッドに大の字で固定し、俺はミキとの念願の性交を果たす。俺は高飛車なミキを調教するのが夢だったのだ。
 今世紀最大のビジネスだったヒューマノイド産業は、それが人口減少を招いてしまったために法律が紆余曲折した末にセックス用は全面禁止とされた。しかしアングラビジネスとなり、こうして俺の給料でもレンタルで手に入るようになった時代の話だ。
 ミキノイドとのプレイを経験した俺が自信家になったことに、会社で顔を合せる本物のミキも気づいたようだ。
 定期メンテナンスでミキノイドを一度返品した俺は係員から扱いの悪さを叱られる。メンテを終えたミキノイドに、今度は少し優しく接してやることにする。しかし、自分が意識して優しく接していることが意識されるようになると、逆にミキノイドの方も俺に対して演技をしてるだけじゃないかという気がするようになる。
 どうしても本物のミキを試してみたくなった俺は、本物のミキとミキノイドの入れ替えを企む。ミキノイドを作らせたという話に、本物のミキは興味と嫌悪とでこれの見物に自宅に来ざるを得なかった。そのミキを監禁し、ミキノイドのほうを本物として帰らせることに成功する。 ついに本物のミキの調教を開始しようとしたとき、帰らせたミキノイドからテレビ電話が入る。帰らせた彼女こそが本物のミキだったのだ。俺がミキそっくりにと発注したので、メーカーの調査員がミキのことを調べていることに気が付いたミキは、その調査員を脅してすべてを自白させていた。そして、こういったプレイに興味を持っていたミキはミキノイドとしてメンテナンスのたびに入れ替わりを行っていたのだ。
 しかし俺の乱暴なだけのプレイには満足できなかったミキは、もう戻って来なかった。

土曜日の夜  OL郁子25歳処女は帰宅途中に暴漢に拉致される。暴漢は郁子を満員電車の中でもたびたび手を出してきた男だった。連れ込まれた地下室で縛り上げられた郁子は性奴隷となることを誓わされるが、それはすべて寂しい郁子の帰り道すがらの妄想。
 郁子の様子がおかしいことに気づいたサラリーマンが声を掛けて自宅まで送ってくれたが、「部屋でお茶と、そしてあたしを」と声を掛けられない郁子はまた寂しい土曜の夜を過ごすしかない。
71 交換  36歳のサラリーマン鈴木は、手にあまるほどの豊かな乳房を持った、他人がうらやむほど美しい妻千秋(30歳)を、日夜思うままに縛り上げ、二三度緊縛写真を雑誌の読者交歓欄に投稿して楽しんでいたが、夫婦交換プレイなど考えて見たこともなかった。しかし、読者交歓欄に載せられた早苗(28歳、電気器具の問屋山本42歳の後妻)の緊縛されたゴムまりのような弾力のある円錐状に突き出した乳房に強く魅きつけられ、山本の希望する一夜限りの奴隷妻交換に応ずる。
はなしは、鈴木の視点で、その初めて体験する不安・興奮・嫉妬・快楽・スリル、そして妻と早苗のからだや反応の比較が語られる。
投稿・田所表川様
闇の配役  平凡な会社員・清は妻・かな子から、奥さん連中と旅行先で初めて見たポルノの男優が清にそっくりだったと言われる。さらに女優の方は商社の社員の奥様で、雪子という名前も分かったという。 清は妻を取り合わなかったが、まさしくその男優は清だった。出張先の温泉でヤクザに拉致され、同じく拉致されてきた見知らぬ女・雪子とのポルノ撮影に出演を強要されたことなど言えるはずもない。
 男優があまりにも清に似ていることが気になったかな子は、清の浮気を疑って興信所に調査を依頼。しかし調査員のミスから、撮影をしたヤクザ・真田に清の身元が知れ、清は真田から出演の件でゆすられることになる。雪子のほうも同じようにゆすられることになるだろう。雪子に好意を抱いていた清は苦悩する。
 金貸しのところに行くためと、清は真田を車に乗せる。清は交通事故を装って共倒れになってでも真田を殺すことを考えていたが、想定外の交通事故で真田は死んでくれる。
 もうゆすられる心配はないと雪子に報告する清。好意を持ち合っていた二人はラブホに入る。くくって欲しいとねだる雪子に、清も芝居がかったプレイで応える。
 興信所から、清と雪子が無関係という報告を受け取るかな子。
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